江戸の面影が残る「蔵の町」川越


「日本三大蔵の町」とも呼ばれる風情ある小江戸の町並み

テレビでどこかが紹介されると必ず「行ってみたい」と主張するのが女性の習性だと聞いたことがありますが、けっこう前から「行ってみたい。オマエも絶対気に入るぞ」とツマからリクエストされ続けていた「川越」。最近何かと話題の場所だそうで、方々から「川越いいよ、ナイスだよ」という話を聞くので行ってきました。

「蔵の町」と呼ばれる川越。

川越は、江戸五街道の一つ「中山道」から分岐したところにある「宿場町」で、「宿場町」ゆえに歴史的に「お姉さんが居るお店」が繁盛した町です。というのが私の乏しい知識だったのですが、少し調べた上で実際に行ってみると、自分の知識はいかにも浅はかでした。関東近郊では有数の大都市で、歴史を振り返ると特に江戸時代には商業・文化など様々な意味で重要な場所だったそうです。当時の「川越藩」は軍事上も重要な拠点になっていて、江戸も含め経済・政治的に日本の中心であったとも言える「武蔵国」で随一の大藩でした。都心からほど近く、これほど知名度の高い街について、偏った知識とイメージしか持っていなかった自分がちょっと情けなくなりました。

川越の蔵は戦火を免れ、築100年を超える建物もあるとか。

歴史や文化の面白さを改めて考えさせてくれる場所

東京に住んでいても東京近郊のことをあまり知らない人は多い気がします。現代になって急激に変化する東京を断片でしか捉えきれていない部分があります。例えば、どこの飲み屋が美味しいとか、どこのクラブがイケているとか、どこどこに新しいお店が出店したとか、そうゆう情報には敏感だし反応も早い。でも東京以外に住む人は、もっと自分が住んでいる地域のことを深く知っているし、自尊心のようなものを持っている気がします。その地方の歴史や、地名の由来や、その地を訪れた人にお勧めする名所など。東京のように、人の意識をかすめる話題が多くないのかもしれませんが、「変化が激しい」「情報が多い」ことが、本当に面白いこと、価値のあることを見過ごしてしまう要因のひとつになっているかもしれません。私は都心の美味しいラーメン屋さんならいくつも知っているけれど、都内から1時間もかからずに行けるところに、こんなに見応えのある場所があることを知りませんでした。川越に行ってみて、なんだかそうゆうことを考えてしまいました。

「一番街」にあるお店は、どこも重厚な蔵作りの家。

最近では海外のツーリズムにも人気で、年間600万人以上の観光客が訪れるそうです。一番の魅力は何と言っても、江戸時代の風情を感じることができる「蔵造りの町並み」。福島県喜多方市、岡山県倉敷市とともに「日本三大蔵の町」と呼ばれています。「川越市立博物館」では、川越市の歴史の他、往年の賑わいを再現したミニチュアや、「蔵作り」の手順を丁寧に伝える実寸大の模型があります。私はこういう博物館が大好きで、旅行はもちろん、出張で地方に行ったときに時間に余裕があれば立ち寄るようにしています。行かないと得られない情報には、それだけの価値があると思っています。

古い時代の風情を残しながらも、進化していく川越

写真は、蓮馨寺。

町を歩くと、広い敷地に良く手入れされた神社仏閣が多く点在しているのが分かります。上の写真は、浄土宗蓮馨寺。すぐ脇にあった風情あふれるお団子屋さんで一服。そのあと、ソフトクリーム、うなぎの蒲焼き、太麺の焼きそばと、お昼ご飯代わりに食べ歩きを楽しみました。

ガイドマップを見ながら歩いていて見つけたおもちゃ屋さん。

中世の建造物の他にも、歴史を感じる空間が点在しています。上の写真は、先の蓮馨寺を出てすぐのところにあったおもちゃ屋さん。古びた看板と、「TAMIYA」のステッカーがたまりません。古い歴史だけでなく、現代に近い時代の雰囲気をも色濃く残した町並みが現存するのも、川越の魅力のひとつかもしれません。

いま風の雑貨屋さん。子供用に手ぬぐいを一つ購入。

古い時代の風情ばかりが見所かというと、そうでもありません。ぶらぶらしていて、いま風の雑貨屋さんを発見。「小江戸」の名を冠する「川越」になじんだ店構え・品揃えのお店です。この町にある雰囲気を壊さないように、乱さないように、古いものを上手く取り入れながら現代に新しく生まれた場所が多いのも、川越の面白さなのです。

菓子屋横町の軒先。20軒ほどの店舗が並ぶ。

蔵が立ち並ぶ「一番街」の次に有名なのが「菓子屋横町」です。明治期以降に菓子屋が出店し始めて、全盛期には70以上のお店があったとか。下町情緒を演出したテーマパークに近い状態ですが、人気の高いエリアです。

菓子屋横町にあった、香辛料屋さん。

観光地ですから、観光客向けの商売もたくさん。ビビッドな唐辛子の色が目を引いた香辛料屋さんで、ブレンド七味を購入しました。辛さや、ブレンドする薬味を選ばせてくれます。700円からと、ちょっとお高いですが、おじさんが、「武蔵の国の〜、焼き唐辛子に〜、けしの身を加えて〜、なんたらかんたら〜」と、抑揚のあるうたい文句で調合してくれます。この場の雰囲気と、おじさんのパフォーマンスを考えると、まぁ700円払っても良いかな。

まる1日、満喫した川越。都内から日帰りで行ける観光地としては、見所の多い場所でした。目に良い刺激になります。アイデアに行き詰まったとき、また行ってみたいと思いました。歴史が好きなら、知的な刺激も多い街ですね。